『エクソシスト』『スター・ウォーズ』『ターミネーター2』…レジェンドが生みだした名クリーチャーたち
『スター・ウォーズ』『キング・コング』…古くから重要だったストップモーション撮影
『クリーチャー・デザイナーズ ハリウッド特殊効果の魔術師たち』では、具体例を出しながら、様々な技法にまつわる特撮の進化を追っていく。多くの名作のなかでも重要作として名前が出てくるのが『スター・ウォーズ』だ。ベイカーがマスクを製作したカンティーナの酒場に集まる個性豊かなルックスをした宇宙人たちをはじめとするトピックが登場する。
なかでもフィル・ティペット、デニス・ミューレンといったそうそうたるアーティストたちが口にするのがストップモーション撮影について。ジャバ・ザ・ハットの宮殿のランコアは一度着ぐるみでの撮影が検討されていたことなど、名シーンの裏側が明らかになっていく。
このコマ撮りについては『スター・ウォーズ』以外にも『ロボコップ』のED-209のシーン、『キング・コング』(33)やレイ・ハリーハウゼンが手掛けた『シンバッド 七回目の航海』(58)といった有名作の名も次々と挙げられており、古くから重要な技術だったことが示されていく。
あらゆる特撮技術が詰まった『ターミネーター2』、そしてCG全盛へ
着ぐるみで撮影された『プレデター』(87)や『エイリアン』(79)、アニマトロニクスを活用した『ジュラシック・パーク』(93)、CG黎明期の『アビス』(89)、モーションキャプチャーが用いられた「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズと、多くの作品やキャラクターの名前が次々と出てくるなか、あらゆる特撮技術が使われている作品としてスポットを当てられているのが『ターミネーター2』(91)だ。
CGをフル活用しT-1000の金属感を表現したかと思えば、T-1000が凍って砕け散る描写が実は特殊効果で表現されていたり、あらゆる技術を融合した作品だと、ミューレンやマット・ウィンストン、ジョン・ローゼングラントらが証言。明かされる事実に驚かされてしまうことだろう。
『ゴジラ』(54)や『ロスト・ワールド』(25)といったクラシックから、『スターシップ・トゥルーパーズ』(97)や『スパイダーマン2』(04)、『パシフィック・リム』(13)といった近年の作品までに触れ、デジタル技術がもたらしたものについてなど、ありとあらゆる特撮にまつわる話がてんこ盛りの本作。
CG全盛となったいまなお、まったく輝きを失わない名クリーチャーたちにはどんな誕生の背景があったのか。本作でその裏側知れば、彼らをもっと好きになるはずだ。
文/サンクレイオ翼