『アイ・アム まきもと』『フォレスト・ガンプ』『ビッグ・フィッシュ』…愛すべき変わり者に心揺さぶられる名作9選 - 3ページ目|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『アイ・アム まきもと』『フォレスト・ガンプ』『ビッグ・フィッシュ』…愛すべき変わり者に心揺さぶられる名作9選

コラム

『アイ・アム まきもと』『フォレスト・ガンプ』『ビッグ・フィッシュ』…愛すべき変わり者に心揺さぶられる名作9選

“生と死”の向き合い方について考えさせられる『リトル・ミス・サンシャイン』『グリーンマイル』

美少女コンテスト優勝を夢見る娘と家族のドタバタ劇が展開されるロードムービー『リトル・ミス・サンシャイン』
美少女コンテスト優勝を夢見る娘と家族のドタバタ劇が展開されるロードムービー『リトル・ミス・サンシャイン』[c]Everett Collection/AFLO

本作を深みのあるドラマとしているのは、生と死の関係性に違いない。死はいつでもどこでも起こり得る。それに対処するのが生きている者の仕事。『リトル・ミス・サンシャイン』(06)では、子ども美人コンテストに出場することになった娘と、その家族の車でのドタバタの旅を描いていたが、孫娘を愛していたヤンチャな祖父が道中で死亡するというアクシデントが発生する。家族は、この身内の死に、それぞれに向き合わねばならない。これは『アイ・アム まきもと』で描かれる故人の家族や知人の心模様にも通じるものがある。

刑務所職員と不思議な力を持った死刑囚との交流を描く『グリーンマイル』
刑務所職員と不思議な力を持った死刑囚との交流を描く『グリーンマイル』[c]Everett Collection/AFLO


死について深く考えることになるのは、これまでに多くの死者と接してきた牧本もまた同様だ。仕事として大勢の無縁仏を見てきたが、故人のことを知れば知るほど情のようなものが湧いてくるのは必然。これはスティーヴン・キング原作による『グリーンマイル』(99)で、トム・ハンクスが演じた死刑囚監房の看守長を思い起こさせずにおかない。彼は死刑囚を“おみおくり”しなければならない立場にあるが、殺人犯らしからぬ静かで落ち着いた気性、そして不思議な力を持つある囚人との出会いによって、心に波風を立たせることになる。彼は死ぬべきなのか?自分は生きているべきなのか?『アイ・アム まきもと』に比べるとヘビーな展開ではあるが、生死の意味を問いかけてくる点では確実に通じるものがある。

『アイ・アム まきもと』は9月30日(金)より公開
『アイ・アム まきもと』は9月30日(金)より公開[c]2022 映画『アイ・アム まきもと』製作委員会

日本における孤独死は過去15年で2倍に増えていると言われている。そんな社会問題に目配せしつつも重くなることなく、感動のエンタテインメントへと昇華させた『アイ・アム まきもと』。主人公、牧本の生き方をたどった笑いと涙の物語は、高齢化社会に加えてパンデミックにも覆われ、死がより身近に存在している現代になにを伝えるのだろう?例に挙げた作品をヒントにしつつ、笑って泣けるヒューマンドラマをじっくりと味わってほしい。

文/有馬楽


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