キアヌ・リーブスとシャドウは共通点だらけ!ハマり役な『ソニック × シャドウ TOKYO MISSION』は大人の心にグッと刺さる
シャドウとキアヌには共通点が…
そんなシャドウとキアヌには不思議な共通点がある。キアヌは幼いころに両親の離婚を経験して以来、複雑な家庭環境で育っている。ハイスクールは4度転校した挙句に中退し、実妹は白血病で闘病生活を送っていた。人生いろいろ、をまさに子どものころから体験してきた。昨今はベンチでポツンとぼっちメシをしていた姿を写真に収められ、“サッド・キアヌ”と呼ばれてネットミームと化していたが、一方では地下鉄で大きな荷物を持っていた女性に席を譲ったり、ファンの結婚式にサプライズで駆けつけたりなどの“いい人伝説”の更新もなされている。寡黙で孤独、しかしそのなかに優しさがにじむ人柄は、同じくサッドな過去を持つシャドウそのものなのだ。
聖人キアヌは、言うまでもなく俳優の仕事にも常に全力投球する。『マトリックス』(99)でカンフーの動きをマスターし、肉体的にハードなアクションに挑んだのは有名なエピソード。今回の新作では、監督によると、シャドウを理解するために入念なリサーチを重ねたばかりか、ゲーム版のファンを裏切らないために、同じセリフを何通りも試したというからさすがと言うほかない。「ゲームでは複数の俳優がシャドウの声を演じてきたので、それを踏まえたうえで、映画のほかのキャラクターの声と調和するような、私なりのシャドウを演じようとしました。声のトーンと感情表現のバランスを見つけるのはとても大変でした」と話すように、キアヌは全体のバランスを考えながら、彼なりのシャドウを作り上げていった。そもそも実写の出演作を振り返っても、『JM』(95)や『コンスタンティン』(05)、『レプリカズ』(19)、そして近年の代表作「ジョン・ウィック」シリーズなど孤独なアウトローを演じること多数。そういう点でもシャドウはキアヌにとって、まさしくハマリ役なのだ。
『ソニック × シャドウ TOKYO MISSION』ではシャドウの過去の秘密が明かされ、大人にこそ刺さる内容になっている。つまり、ファミリームービーの要素が強かったシリーズ前2作に比べて、大人の観客にも訴えるドラマにグレードアップしたということ。もちろんスペクタクルの醍醐味たっぷりなアクションのスケールも、これまで以上に強化。アニメーションは往々にして子ども向けと見られがちだが、本作にはおれたちのキアヌがいる!イケボで観客を魅了するキアヌの声の妙演と共に、空前絶後の超音速アドベンチャーを体感してほしい。
文/相馬学