【レビュー】“ハン・ソロ育ての親”の脚本が光るスター・ウォーズ最新作は、語られるべき物語!

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【レビュー】“ハン・ソロ育ての親”の脚本が光るスター・ウォーズ最新作は、語られるべき物語!

「スター・ウォーズ」最新作の見どころを解説!
「スター・ウォーズ」最新作の見どころを解説![c]2018 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

「スター・ウォーズ」最新作『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(6月29日公開)は、シリーズ屈指の人気を誇るハン・ソロの若き日を描いた物語。現在メインのシリーズは反乱同盟軍が崩壊の危機に追い込まれ、アナザー・ストーリーとしての前作『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)は銀河戦争の裏側で人知れず命を落とした名もなき戦士の物語と、ややヘビーな展開が続いており、ここで宇宙のアウトローの大暴れをはさむシリーズ編成は、実に気がきいている。

3000人以上からハン・ソロ役を勝ち取った新星オールデン・エアエンライク
3000人以上からハン・ソロ役を勝ち取った新星オールデン・エアエンライク[c]2018 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

言わずもがなだが、ハンは反乱軍が帝国に勝利したエピソード4〜6のメインキャラ。しかし、偶然に出会ったオビ=ワン・ケノービとルーク・スカイウォーカーを船に乗せたことから“スター・ウォーズ”に巻き込まれていった彼の素顔は、これまであまり触れられてこなかった。ハンはジェダイの血を引くカイロ・レンの実の父。彼の若き日の活躍は、語られるべき物語といえよう。

パイロットを目指し帝国軍に入ったハンは、軍を脱走して加わった強盗団で危険な冒険に巻き込まれてゆく。相棒チューバッカとの出会い、運び屋ランド・カルリジアンとの確執やミレニアム・ファルコン入手のいきさつなどに加え、ハン・ソロ命名の秘密、幼なじみとのロマンスなど盛りだくさん。名もなき若者の成長を、ドラマチックな展開と厳しい試練で紡いでゆくスタイルも今作で踏襲されている。

【写真を見る】『ハン・ソロ』ロン・ハワード監督が恩師ジョージ・ルーカスに恩返し!新キャラの写真も必見
【写真を見る】『ハン・ソロ』ロン・ハワード監督が恩師ジョージ・ルーカスに恩返し!新キャラの写真も必見[c]2018 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

監督は『アポロ13』(95)など数々の大作を手がけてきたロン・ハワード。冒頭のスピーダーのチェイスや貨物列車の襲撃シーン、ミレニアム・ファルコンとタイファイターのドッグファイトなど全編が見せ場の連続だ。実はコメディ専門だった彼がスペクタクルに開眼するきっかけになったのがルーカス・フィルム製作の『ウィロー』(88)だった。30年の時を経て、ハワードは恩返しを果たしたといえる。

新ドロイド“L3”とランド・カルリジアンも大活躍
新ドロイド“L3”とランド・カルリジアンも大活躍[c]2018 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

ファンにとって気になるのは、過去シリーズと繋がる“イースターエッグ”だろう。ソロのダイスのお守りに込めた思いや愛銃DL-44の入手経路、銀河最速伝説の真相、チューバッカのモンスター・チェス初黒星から『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』(80)で再会したハンにカルリジアンが一瞬厳しい表情を見せた理由など、思わずニヤリとするエピソードがズラリ。エピソード5、6を書いた“ハン育ての親”ローレンス・カスダンの脚本が光る。

ハンの運命を左右する美女・キーラを演じたエミリア・クラーク
ハンの運命を左右する美女・キーラを演じたエミリア・クラーク[c]2018 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

もうひとつ注目したいのがミレニアム・ファルコンだ。本作では伊達男カルリジアンがオーナーだけに、傷ひとつない光り輝くボディで登場する。優雅に弧を描きながら宇宙を飛ぶ白い船体は、貴婦人と呼びたくなる美しさ。ツギハギだらけのやんちゃな姿を見慣れた目には思い切り新鮮に映るはず。もちろん内装もピカピカで、メカ好きならずとも見入ってしまうだろう。

相棒チューバッカとハンの運命的な出会いも明かされる
相棒チューバッカとハンの運命的な出会いも明かされる[c]2018 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

善と悪による争いの最前線を追うメインストリームに対し、戦局の裏側で繰り広げられる物語を描く「スター・ウォーズ・ストーリー」。今作では新たなる勢力の存在が示唆されており、何らかの形で『スター・ウォーズ エピソード9(仮題)』へと繋がる可能性もある。サイドストーリーの枠を越えた重要な位置づけになってゆくのか、今後の展開も楽しみである。

文/神武 団四郎


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