橋本愛が女優としての転機、おすすめレストランまで“34の質問”に回答!第34回東京国際映画祭フェスティバル・アンバサダーとしての想い明かす
8.女優さんにならなかったとしたら、どんな職業に就いていたと思いますか?
「うーん、なんでしょうね!自然が好きなので、自然を感じる仕事がいいかな。自然豊かな場所でカフェや本屋さんをやってみたり。あと海も好きなのでダイバーや、もずくを獲る人など、そういったお仕事もしてみたかったです」
9.ご自身が変わったターニングポイントはありますか?それはどんな時ですか?
「ターニングポイントは大量にあるんですが、最近だと『グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~』で成島出監督とご一緒したことがきっかけで、自分のお芝居が180度変わる経験をすることができました。心から感謝しています。お芝居について、ずっと『“できているふう”にしているけれど、ちゃんとできていないよな』と思うことがあったんですが、成島監督がそこを指摘してくださって、そこから演技を専門的に勉強するようになりました。
例えば泣くシーンがあった時に、いままでは『悲しくなれ』『泣け、泣け』と感情に命令していました。でもそうではなくて、シーンに伴った行動をすることで勝手に感情が動いて涙が出てくるんだということがわかったんです。『これが本当の人間の姿だったんだ』と気付くことができて、お芝居もどんどん嘘のない形になってきたようでとてもうれしかったです。それ以降、自分が求めていたお芝居ができるようになってきて、私は女優さんをやっていいんだと自信も持てるようになりました」
10.橋本愛さんにとっての憧れの女優さんは?共演してものすごく刺激を受けた方などがいらっしゃったら教えてください。
「満島ひかりさんがずっと大好きで、大ファンです。満島さんと私は持っているものや特性も全然違うので目指しているというわけではないんですが、ずっとずっと大好きで追っている人です。またいま出演させていただいている大河ドラマ(『青天を衝け』)では、私が演じる千代の義理のお母さまを、和久井映見さんが演じていらっしゃいます。和久井さんとのお芝居では、助けていただいたことがたくさんあります。本当に心優しい方で、私はいつも心がときめいていました。包容力があって、こんな人になりたいなと感じるような方です」
11.ホラー映画『貞子3D』での貞子役や、現在ご出演中の大河ドラマでは渋沢栄一の妻という歴史的な人物も演じられるなど、幅広い役柄に挑戦されてきたと思います。役作りをする時に、特に意識をしていることがあれば教えてください。
「180度お芝居のやり方が変わったからこそ、“役の魂を自分の中に入れる”という作業をするようになったので、演じる役が愛情に飢えている役だったりすると、私自身の心も侵食されてしまって少し辛くなってしまうことがありました。このやり方は健康に害があるのかなと思って、またやり方を少し変えてみたんですが、やっぱり違うなと感じて。それからはどんなに侵食されてもいいから、“役を演じる”のではなく、“役を生きる”というやり方をちゃんとやっていこうと決めました。ここ1年ぐらいのことで、その気持ちはずっと大事にしていきたいなと思っています」
12.俳優としてデビューされてから10年以上経ったと知りました!デビュー当時を振り返って、俳優として成長したと実感する瞬間はありますか?
「たくさんあります。一番変わったなと思うのは、デビュー当時はこのお仕事をずっとやるという意識はまったくなかったものが、いまはおばあちゃんになってもやりたいと思うようになったことです。だからこそ30代はこういう感じ、40代はこういう感じ…と少し具体的に将来のことを考えるようになりました。いまはこれがずっと続けていくお仕事なんだという覚悟ができたと思っています」
13.「もう一度演じてみたい」と思う役柄はありますか?
「昨年、三島由紀夫さんの作品を舞台化する『班女(近代能楽集より)』に出演させていただきました。そこで演じた花子という役は、年齢を重ねてまた演じてみたい役です。おそらくその年齢ごとに、演じ方や捉え方も変わってくる役なんじゃないかなと思っています」
14.大御所の監督さんや俳優さんとお仕事されることや一発勝負の撮影など、緊張感のある撮影現場も多いと思いますが、緊張はしやすいほうですか?それともそういう時も楽しめるほうですか?
「基本的に緊張はするほうですね。でも緊張をしないとつまらないと感じています。どうせなら非日常の感覚を味わいたいので、緊張も楽しめているのかなと思っています」
15.コロナ禍で撮影などもなかなかできずに、大変だった時期が続いたと思います。改めてご自身のお仕事について、エンタテインメントの可能性について考えられたことはありますか?
「映画にも役割分担があるのではないか、ということを改めて感じました。みんなでワイワイと楽しめるようなエンタメ性の強い作品もあれば、一人でどっぷりと浸かって、自分と深く向き合う時間を過ごせるような映画もあります。私自身も映画に救ってもらって、映画に育ててもらったような感覚を持っていますが、同じように映画を必要としている人たちに向けて、映画に出会える瞬間やご縁を作れるようなお仕事ができればいいなと思っています」