映画の中の“忠臣蔵”は実に様々!赤穂浪士の泣けるドラマから騎士道もの、コメディ時代劇『身代わり忠臣蔵』まで

コラム

映画の中の“忠臣蔵”は実に様々!赤穂浪士の泣けるドラマから騎士道もの、コメディ時代劇『身代わり忠臣蔵』まで

吉良上野介の身代わりとなった弟をめぐるコメディ『身代わり忠臣蔵』(2024年2月9日公開)

「超高速!参勤交代」シリーズや『引っ越し大名!』(19)などのコメディ時代劇で原作・脚本を手掛けた土橋章宏による同名小説を、『総理の夫』(21)の河合勇人監督が映画化。主人公となる吉良家の五男で僧侶の吉良孝証と、吉良家当主の吉良上野介を1人2役で演じるのはムロツヨシ。上野介の敵の立場でありながら、孝証と友情を育み、秘密の相棒になっていく大石内蔵助役には永山瑛太。ヒロインの桔梗役に川口春奈が出演する。

孝証と友情を深める大石内蔵助(『身代わり忠臣蔵』)
孝証と友情を深める大石内蔵助(『身代わり忠臣蔵』)[c]2024「身代わり忠臣蔵」製作委員会

実は江戸城で斬られた傷がもとで上野介が亡くなり、ただでさえ城中での刃傷沙汰に怒り心頭のお上の反応を恐れた吉良家が、死を隠したまま、弟の僧侶を身代わりに立てる。一見、奇想天外に思えるストーリーだが、武家では長子以外の男子は養子に行くか、僧侶になることが普通だった歴史的背景を踏まえた絶妙な設定だ。ハイテンションなドタバタコメディも懐深く受け入れてしまう「忠臣蔵」のポテンシャルの高さを再確認できる。


300年という長い時を超え、今日まで長く語り継がれてきた「忠臣蔵」は、もはや日本人のDNAに深く刻印された国民的な物語。時代によって少しずつ変化しながら新しい創作が生まれ、また新たな世界を作りだしていけるところも魅力だ。この冬は、かつて実在した赤穂藩士たちに思いを馳せながら、独自の解釈で挑んだ作品を通して「忠臣蔵」の世界をとことん楽しもう!

文/石塚圭子

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