『ザ・クリエイター/創造者』でもオマージュ炸裂!大友克洋の「AKIRA」に影響を受けたハリウッドの作品
『ターミネーター2』&『ダークシティ』
木城ゆきとの「銃夢」を映画化した『アリータ:バトル・エンジェル』の製作に名を連ねるジェームズ・キャメロン監督も、日本のアニメに造詣が深く、その影響を公言している巨匠の一人。T-800がむき出しになった手を動かすカットなど『ターミネーター2』(91)には「AKIRA」を思わせるシーンが盛りだくさんだ。
さらに数々のSFを手掛けてきたアレックス・プロヤス監督も、ほとんど太陽が出ない街を舞台とした『ダークシティ』(98)のクライマックスで「AKIRA」的な世界観を作り上げた。
「モンスターバース」
またエドワーズ監督の『GODZILLA ゴジラ』から始まった「モンスターバース」シリーズでは、アダム・ウィンガード監督が『ゴジラvsコング』(21)のコメンタリーで「AKIRA」の影響について言及。
「AKIRA」をオールマイベストの一作として挙げるジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督の『キングコング:髑髏島の巨神』(17)では、ハンク・マーロウ中尉(ジョン・C・ライリー)のジャケットに“GOOD FOR YOUR HEALTH”という刺繍があるが、これは金田が着るジャケットの“GOOD FOR HEALTH”の文字のオマージュだ。
『NOPE/ノープ』
そういった設定や世界観、小ネタに加え、国内外のアニメや映画でまるっとオマージュされているのが、“金田がバイクを横にスライドさせながら停車させる”おなじみのスライドブレーキ・シーン。もはやバイクの演出スタイルとして“クラシック”となっているといっても過言ではないだろう。
ジョーダン・ピール監督は『NOPE/ノープ』(22)で、キキ・パーマー演じるエメラルドが警察のテープを破りながらスライドブレーキを決めるシーンを盛り込んでおり、インタビューでも「AKIRA」への愛をアピール。しかし、過去に「AKIRA」実写化の監督オファーは断っており、それだけプレッシャーのある作品ということがうかがえる。
「スパイダーバース」
斬新な映像表現が話題となった『スパイダーマン:スパイダーバース』(18)で共同監督を務めたピーター・ラムジーは「多大な影響を受けた作品は大友克洋監督の『AKIRA』。『AKIRA』の要素は絶対にあるし、彼のスタイルは演出におけるまさにナチュラリズムだ」とコメント。
また監督が替わった2作目『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』でも、スパイダーウーマンが主人公マイルスとのバトル中にスライドブレーキをするシーンが登場。単なる真似ではなく、スパイダーマン的なアクションと融合した見事なものになっていた。
今回紹介したラインナップを見ても、長きにわたってコンスタントにオマージュされ、「AKIRA」が多大なるインスピレーションをハリウッドに与えてきたことがわかる。そして肝心の実写化はどうなるのか?動きだしては中止を繰り返しているだけに、その行方も気になるところだ。
文/サンクレイオ翼