「ダークナイト」トリロジーから『インセプション』、『オッペンハイマー』へ!クリストファー・ノーランとのコラボで振り返るキリアン・マーフィーの歩み
天才科学者の栄光と苦悩、没落までを演じきった『オッペンハイマー』
『プルートで朝食を』(05)では母への強い思いから性同一性障害となった青年、『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』(16)ではナチス要人をねらう暗殺者、『フリー・ファイヤー』(16)ではひたすら銃を撃ちまくるギャングなどクセモノキャラを演じてきたマーフィーが、ノーランとの6度目のコラボとなる『オッペンハイマー』でついに主演を果たす。
ノーランから電話を受けすぐに快諾したというマーフィーは、体重を大きく落とし、あらゆる映像資料に目を通して役作りに没頭。しぐさやアクセントまでマスターし、青年、中年、晩年期のオッペンハイマーを熱演した。『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』(21)でも共演した妻キャサリン役のエミリー・ブラントとのコンビネーションも素晴らしく、多くの映画賞にノミネート。すでに発表されたゴールデン・グローブ賞、全米映画俳優組合、英国アカデミー賞などで主演男優賞を受賞している。
映画デビューから約25年、俳優として大きな節目となる作品と出会ったマーフィー。本命である第96回アカデミー賞は、いよいよ日本時間3月11日(月)に授賞式が行われる。主演男優賞のほか、作品賞や監督賞など13部門に名を連ねた本年度最多ノミネートとなった本作で、マーフィーはオスカーを手にするのか、その行方に注目したい。
文/神武団四郎
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