「インファナル・アフェア」で改めて考える!トニー・レオンが歩んだ軌跡とファンを惹きつける魅力
観終わったあと、きっと「トニー派?アンディ派?」と話したくなる!
最後に「インファナル・アフェア」で話を締めよう。ご存知、警察に潜入することを命じられたマフィアの青年(アンディ・ラウ)と、マフィアに潜入することを命じられた青年(レオン)が、10年後に麻薬取引をめぐって対決する――その複雑なねじれ!!しかも2人は警察学校の同期とくるから、改めてゾクゾク鳥肌が立ってしまう。レオンとラウというトップスターが激突し、また彼らが作り上げたキャラクターの完璧さ、それゆえにじむ苦悩や使命感、愛憎がとてつもなく映画全体に充満している。当然、優秀ゆえに見込まれた2人は潜入先の組織で信頼され、人間関係を築き、仲間に愛も感じずにいられないからこそ、正義感や職務と情の狭間で煩悶や罪悪感を覚え、苦悩はより深く深くなっていく。
男が苦悩する姿って、なぜにこんなにも色っぽく、ほだされずにいられないのか。公開時にも論争が巻き起こったが、改めてあなたは「トニー派?アンディ派?」と誰かと話したくてたまらなくなる。
香港映画ファンには有名だが、レオンとラウはテレビ時代から共演歴があり、一緒にアイドルとして人気を誇った長年の盟友。そんな背景を知ると、より萌えずにいられない。対照的な2人の魅力、レオンの柔らかさ、ラウの硬派さがドンピシャで役に吹き込まれ、それぞれの恋愛、婚姻関係も含めて胸はガクブル必至!第二部『~II 無間序曲』(03)はショーン・ユー(レオンの青年期)、エディソン・チャン(ラウの青年期)が警察学校時代を演じ、第三部『~III 終極無間』(03)はラウを中心に描かれる実験的な意欲作で、それぞれの作品で味わいも違う。だからこそ余計に、ぜひとも3作を通しで観て「インファナル・アフェア」の世界観に浸って、暫し“この男気の放つ色香と哀愁”に痺れてほしい。
文/折田千鶴子